佐藤茂のときどき真面目な金融日記

とある外資系トレーダーが綴る、金融中心かと思いきや雑多なブログ

オプションの基礎(4)なぜオプションをトレードするのか

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前回までに、オプションにまつわる用語や、その価値について見てきました。今回は、そもそも「なぜオプションを取引するのか」について説明したいと思います。

 

 

オプションをトレードする理由は人それぞれですが、大きく言って以下のようなものがあげられます。

 

高レバレッジ

アウトオブザマネーのコールやプットは、株を直接買ったり売ったりするよりも安い価格で買うことができ、非常に大きなリターンをあげられる可能性があります。

もしもあなたが、A株が今後大きく値上がりすると思ったとしましょう。そして全財産をはたいてA株に投資するとします。その場合、A株を買うよりもA株のアウトオブザマネーのコールをありったけ買ったほうが儲かるのです*1。このように、高レバレッジの投資を可能にするのがオプションの魅力のひとつです。

 

保険

株を保有している人は、アウトオブザマネーのプットを購入することで株価の値下がりから被る損失を限定することができます。

 

プレミアムの獲得

株価がこれ以上は下がらない、あるいは上がらないと信じれば、アウトオブザマネーのオプションを売ることでプレミアムを稼ぐことができます。

例えば、株が100ドルで取引されているときに80プットを売り、その後満期まで何もしなかったとします。もしも満期に株が80ドル以上で取引されていれば、売った80プットはアウトオブザマネーで無価値に終わりますから、売ったときに得たプレミアムを稼いだことになります*2

株を保有している人は、しばしば保有している株のアウトオブザマネーのコールを売ることで、リスクを抑えつつオプションのプレミアムを稼ごうとします*3

 

投資戦略の多様性

オプションは、コールやプットそれのみで取引されるのはもちろんですが、あらゆるオプションの売買を組み合わせることで、非常に多種多様な投資戦略を実現することが可能となります。このような、種々のオプションの売買を組み合わせたものを総称してスプレッドと呼びます。

たとえば、アウトオブザマネーのプットとコールのどちらか一方を買い、もう一方を売ることをリスクリバーサル(Risk Reversal) と言います。こうしたスプレッドは、それ自体がひとつのパッケージとして取引されます。

 

ボラティリティのトレード 

詳しくは幣著にて説明しておりますが、実はオプションは、コールであれプットであれ、株価の上昇・下落に関係なく利益を上げることのできる金融商品です。株価が不安定で大きく動くような状況*4でこそオプションは最大の威力を発揮します。逆に、株価が安定している場合にはオプションを売ることで利益を上げることが可能です。このように、オプションを通して、値動きの方向には関係しない「株価の不安定性(ボラティリティ)」を取引することができるのです。

 

今回は、オプションをトレードすることの意義、メリットについて説明してきました。次回は、そのオプションの価格がどうのようにして決まるのかを見ていきたいと思います。

 

www.shigeru-sato.com

 

*1:どの程度アウトオブザマネーのオプションを買うべきかというのはなかなか簡単な問題ではありません。それを解くには、これ以降出てくるボラティリティやマーケットのスキュー、値上がりの確率分布などを考慮する必要があります。

*2:通常、オプション取引にともなうキャッシュの授受は直ちに発生します。オプションの買い手は直ちにプレミアムの支払いが求められますし、オプションを売った場合は直ちにプレミアムを口座に獲得することができます。ただし、海外の指数オプションの中には、先物やFXのような証拠金取引の形で行われるものがあります。この場合は、オプション取引にともなうキャッシュの授受は取引時には発生しません。ポジションをクローズするか満期を迎えたときに、売買価格に基づいた損益が口座内のキャッシュの増減として反映されます。

*3:これをバイライト(Buy-Write) と言います。

*4:このような状況をボラティリティの高い状況と言います。