佐藤茂のときどき真面目な金融日記

とある外資系トレーダーが綴る、金融中心かと思いきや雑多なブログ

債券の基礎(7)クリーンプライスとダーティプライス

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前回はレポ取引について解説しました。

今回は、実際に債券を売買する際の話です。

早速ですが下の図のような場合を考えてみましょう。額面100円のとある債券が取引されているとします。

クーポンは年利1%で半年ごとの利息払い、つまり債券保有者は半年に0.5円の利息が入るとします。

また利息支払い日は毎年5月と11月の15日とします。

 

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今、2017年8月30日にこの債券の売値が98.5円だったとします。ところが実際にこの日にこの債券を買った場合、買い手は98.5円ではなくて98.79円を支払わないといけません。反対に売り手は98.79円を受け取ります。

これは、前回の利息支払い日から売買日までの107日間分の利息

 1円 \times 107/365 = 0.29円

が上乗せされた金額になっています。

こうしないと、売り手は前回の利息受取日から107日間は債券を保有していたにも関わらず、その分のクーポンがもらえなくなってしまいます。

反対に買い手は、例えばクーポン日の1日前に債券を買った場合、1日しか保有していなくても半年分のクーポンである0.5円をそのままもらえてしまうことになります。

これを調整するために、前回クーポン支払日から売買日までのクーポン分が上乗せされた価格で実際の売買が行われることになります。この前回クーポン支払日から売買日までのクーポン分をAccrued Interest(アクルード・インタレスト)と言います。日本語だと経過利息です。

通常、債券の価格は経過利息を含まない形で値がつきます。これをクリーンプライスと言います。上の例で言うと、購入価格98.5円とか売却価格99.0円とかはクリーンプライスです。

反対に、経過利息が上乗せされた価格をダーティープライス(Dirty Price)と言います。

(ダーティプライス)=(クリーンプライス)+(経過利息)

です。

 

実際に上の例でみると、債券購入者は購入時に

98.5+0.29=98.79円を支払い、

保有期間中に0.5円のクーポンを受け取り、そして売却時に

99+0.33=99.33円を受け取ることになります。

 

ところで、経過利息を計算する際に前回クーポン支払日から売買日までの実日数を365で割って求めましたが、この計算の仕方は国や債券の種類ごとに変わってきます。

日本国債の場合、実日数/365によって経過利息が計算されますが、例えば米国債の場合、実日数/実日数という形が取られます。

例えば上の例で言えば、2017年5月15日から2017年11月15日までの実日数は184日ですから、

 0.5円 \times 107/184

が経過利息になります。

また、米国債でも満期が1年以内のT-Billやその他の短期証券は実日数/360という形が取られます。この経過利息の計算の慣習を「Day Count Convention」と言いますが、取り扱う元本が大きくなればなるほど効いてきますので注意が必要です。